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時間はたっぷりあるので。

ハピネス(3)(4)

ハピネス(3)(4)/押見修造

ハピネス(4) (週刊少年マガジンコミックス)

ハピネス(3) (週刊少年マガジンコミックス)

主人公は地味でいじめられっ子の高校生、岡崎誠。辛い日々ではあったが、ひょんなことから不思議ちゃんの五所雪子と仲良くなり、楽しみもできていた。しかし、そんな日常は突然女の子に襲われ血を吸われたことから一変した。暗いところを好み、異常に喉が渇き、人の血を吸いたいという衝動に振り回される誠。最悪の病気をうつされたと思い絶望する誠だったが、「吸血鬼」として行動するうちに、自分を襲った女の子、ノラが悪い奴ではないと感じ始める。そしてついに人間として生きることを諦めノラと生活していこうとするが…

 

押見修造のマンガは独特の闇があっておもしろい。「悪の華」「スイートプールサイド」「ぼくは麻理のなか」など、押見修造作品は全部おもしろいのだが、主にテーマとして感じられるのが、溢れる妄想と繰り返す絶望。これがまた独特の絵とともに表現されていて、唯一無二のものとなっている。風景、表情、感情、すべての描写が、不思議な世界観を作り出している。

このマンガでは他の作品と違って特に妄想描写はない。妄想のようなことが現実で起こっているだけである。しかし、吸血鬼の存在は非現実的であるにも関わらず、作者の卓越した表現力によって、物語は登場人物たちのリアルな感情をさらけ出して進み、読者もその世界に引き込まれていく。

やっぱり押見修造、天才だな。(n回目)