不滅のあなたへ(1)
不滅のあなたへ(1)/大今良時
壮大なスケールで描かれるファンタジー。
冒頭は
それははじめ 球だった
そして
私は“それ”をこの地へ投げ入れ
観察することにした
つまりこの物語の語り手は神か何か、人知を超えた存在だと思われる。
この球は、ありとありゆる物の姿を写し取り、変形する。球から、石→コケ→オオカミ
そして、ヒトに姿を変える。
球には学習能力があり、何度も死ぬ状態を経るが、確実に学んでいく。
このはじめは何の感情も感覚もおそらく思考も持たなかった球が「刺激」を得てどんどん成長していく。
その様子に加えて、面白いのが周りの人間たちの、人間らしさ。
この人の描く人間って、ものすごく人間らしさがある。表情は、秀逸すぎる。
人間じゃないけど、最後の、オオカミがありがとうと言った時の目。
素晴らしすぎて笑えてくる。